自我の罠から抜け出す

だいぶ前になるのですが、確かジュースか何かのコマーシャルで、100%天然であることを強調するために、「何も足さない、何も引かない」みたいなフレーズがありました。正確ではないかもしれませんが…。

つまりもぎたての果実をあるがままに絞ったものですよ〜、ということを訴えるために作ったキャッチコピーなのでしょう。

私の心に残っているところを見ると、これを作ったコピーライターの人は優秀なんだろうと思います。

足したり引いたりしないということは、そこに人為的なものが介入していないということであって、あるがままでOKだということです。

このあるがままでOKというのは、それが良いということではありません。良い悪いという見方をしないということ。

もしもあなたが今の自分は◯◯なので、もっと◯◯にならなければいけないという思いがあるなら、足したりり引いたりしたいわけです。

つまりは、改善しようとするということ。何か自分に対する目標のようなもの、理想のようなものを設定して、少しでもそこに近づこうとするわけです。

社会的には素晴らしいことだとされるでしょうし、私も反対はしません。ただし、やるならとことんやる必要はあると思います。

やれるところまでとことんやることが不可欠なのは、もうこれ以上は無理だというところまでやって、あきらめがついたときに初めて、改善しようとするのが無駄なことだったと気づくからです。

中途半端のままでは、永久にこれを繰り返すことになってしまうのです。だから方法は二つしかありません。

とことんやって気づくのか、深い理解によってそのことに気づくのか。気づいたとき、ようやく自我の罠から抜け出すことになるのですね。