思い込みのバカバカしい強さ

92歳になる母親の短期記憶装置がだいぶやられてしまっていて、認知症ではないにせよかなり困ったことになっています。

ついさっきの記憶が消えてしまう反面、ある程度過去の記憶が残っているのです。そうなると、本人は過去の状態のままで生活しているつもりになっているのです。

危険だから一人で買い物に行かないでとどれほど伝えても、食べるものを買って来なければと言って、勝手に1人で出かけようとするのです。

本人としては、過去自分で買い物を全てやっていた頃の記憶だけがあるため、今もそのように生活していると思い込んでしまっているのです。

だから3食買ってこなくても、いつも出してもらって食べてるでしょと伝えても、それが分からないのです。

冷蔵庫の中を覗いてもらっても、何だか食べ物がないような気がするという状態なのです。

こうした思い込みが強くあると、誰のどんな言葉も本人の中には入っていかないばかりか、食べ物がないという思い込みで冷蔵庫を覗くので、無いようにしか見えないのです。

母親の場合は極端な事例ですが、私たちはみんな大なり小なり似たような勝手な思い込みの中で生きているのです。

一番強烈な思い込みは、自分は顔にある二つの目によって外の世界を見ているというものです。このことが人生にあらゆるトラブルを持ち込むのです。

自分がそうしているのだから、他人もあの二つの目からこちらを見ていると信じ込んでいるのです。

そのため、他人の目が気になるし、人にジロジロ見られているという神経症が起きるのです。

これを解消する唯一の方法は、自分が肉体の目を通して外を見ているのではないことを体感することですね。

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