人間とは何でこれほど不平等なんだと、苦々しく思ったことがないという人はいないはずです。外見の美醜、お金持ちか貧乏か、能力のあるなし等々。
運のいい人もいれば、不運続きだという人もいるでしょう。けれども、こうした違いはどちらかというと表面的なことなのです。
もっと本質的なことを見てみれば、その不平等さは消えていくのです。例えば、人生何があるか分からないという点ではみんな一緒です。
つまり一寸先は闇ということ。病気や事故に遭遇するかもしれないし、悪いことを想像したらそれこそきりがありません。
いずれは死ぬということに関しては、もう完全に誰もが平等な立場にいるわけです。不平等な表面に目を向けるのか、平等な本質を見るのかは自由です。
私は後者の方を強くお勧めします。人はどんなものを手に入れたとしても、決して本当には満たされることがないという平等さに気づいて、とても穏やかになれたからです。
内面の奥深くには誰もが平等に不安を抱えているのです。この不安というのは、個人であるという思い込みを持つことから必ずやってくるものだからです。
そしてそのことに気づいたことで、不安から逃げようとすることの愚かしさにも気づくようになったのです。
その結果、表面では慌てたり焦ったり嫉妬したりしていたとしても、深い部分ではそれを見ていられるようになったのです。
不平等さからはあまり得るものはないのですが、平等さからは非常に多くの深い気づきをもらえるということですね。