日頃セッションの中でクライアントさんにお伝えしている二種類の癒しの方法について、あらためてここでまとめておきたいと思います。
一つ目は、催眠療法などに代表される、過去の抑圧された感情や本音を味わってそれを開放していくという方法ですね。インナーチャイルドなどの考え方を中心に据えて、その子供の意識の思い残しや鬱憤、犠牲、訴えなど、心の闇に隠されていたものを掘り起こして、光に照らすことによって少しずつ闇の部分を減らしていく作業ですね。
そして二つ目は、凝り固まった自分の考え方や生き方を変えていくという、行動療法的な要素のある実践型の癒しの方法です。一つ目の癒しの方法によって、過去の感情を開放していっても、毎日の生活が変わらずにまた新たな感情を溜め込んでいくようだと人生を変えることはできません。
この二つの癒しの方法を平行して進めていくことで相乗効果が期待できます。一つ目の癒しを進めていくことで、二つ目の癒しの作業がより容易になっていくという効果があるのです。その理由は、過去に溜め込んだ感情のパワーがあまりにも強力すぎると、自分を変えようとするパワーが押さえ込まれやすくなってしまうからなのです。
一つ目の癒しの作業の特徴は、万人向きであるということです。そのため、癒し始めは、ほとんどの方がこの一つ目の作業から入っていくと比較的スムーズに癒しを進めていくことができます。
あまりにも大量に感情を溜め込んできた方にとっては、この癒しの作業だけでも相当な変化が期待できます。心の奥に圧縮された感情のパワーは、理性では抑えることが難しくなってしまっている場合があります。そのような場合は、数回程度の催眠療法だけでも大きな変化が期待できます。
しかし、この一つ目の癒しの方法というのは、エゴのシステムの内側で行っている作業ですので、この方法をいくら続けて行ってもどこかで頭打ちになってしまいます。それは、癒しの本質は、エゴのシステムからの脱却だからです。
エゴの中でいくら頑張っても、それは二重三重に騙されていたものが一重に騙されるところまで回復するだけなのです。それ以上先へは進めません。所詮、エゴの内部に居る限りはエゴを必要として生きていくことになるからです。
一方、二つ目の癒しの方法は、自分が幸せになるためには不都合となる考え方や生き方を意識的に訂正していく作業ですので、あまりにも心の状態が悪いような場合には進めて行くことに無理があるかもしれません。ですので、一つ目の癒しの作業をある程度進めていくらか心の余裕が出てきてからの癒しの方法であると言ってもいいかもしれません。
この二つ目の癒しの方法は、実はエゴのシステムからの脱却を目指した癒しの方法なのです。つまり、一つ目の癒しの方法がエゴの内部での作業であったのに対し、こちらの癒しはエゴの外側に自分を置くようにする作業になるのです。
つづく