何か欲しいなと思っていたものが手に入るととても嬉しい気持ちになりますね。でも、そのときの嬉しさの頂点は、それが手に入りそうな時、あるいは手に入ったその瞬間です。
そのあとは、なだらかに、あるいは場合によっては一気にそのハイテンションは下がっていってしまうものです。いつまでもその嬉しさを維持することは難しいのです。
だから人は、次から次へと望むものがやってきて、そのたびにそれを求めて努力したり頑張ったりして、また別の嬉しさを手に入れて、というのを永遠に続けていくのです。
一つ願望を達成して満足してしまうようでは、成長もなければ発展もないという考え方があるのは知っていますが、でもなぜ成長や発展をし続けなければならないのかを考える必要があると思います。
本当は幸せを求めているのですから、一つの願いが叶ってその喜びがずっと変わらずにいてくれたらそれで問題ないはずですね。
つまり、進歩しなければならないという考え方というのは、いつまでも満たされることがないということとくっついているということです。
そして、そのどちらもがエゴの巧妙な作戦であると気づくことです。エゴは、望むものを手に入れたらあなたは幸せになるよとそそのかします。
しかし、その幸せは偽物であるために、また次なるものを求めざるを得なくなってしまうのです。そうやって、偽物の幸せを求め続けることで自己犠牲を払い、苦しみから抜け出せなくなってしまうのです。
それがエゴの作戦です。エゴは私たちが本当の幸せを手に入れてしまったら自分がお払い箱になるということを知っているので、この不幸せな無限ループに落とし込むのです。
そうやって、エゴそのものの存続を狙っているということです。エゴの存在価値とは、苦しむ自分を助けることができるという(ニセの)役目を担っていることです。
私たちはこのことにしっかりと気づくことがとても大切です。そして、これ以上エゴの作戦に乗せられないようにしなければなりません。
幸せのネタは何かを手に入れることではなく、自分の心のうちにこそあるということです。それは自己犠牲とはまったく縁のないものです。
もしも何らかの自己犠牲を払っているという自覚があるのでしたら、エゴにしてやられていると理解し、なるべく速やかにその生き方を改めることですね。
そして自分にとって真に幸せになるとは、どういうことなのかということについて、しっかりと見極めることです。そうすれば、誰でも幸せに向かって再スタートすることができるのです。