自分は身体の中にいて、そこから外の世界を見ているという感覚があります。その一方で、自分がすべてであり、あらゆるところに遍在しているという感覚もあります。
前者が個別性であり、後者が全体性と表現することもできます。さまざまなクライアントさんとお話ししていると、こうした感覚についていろいろな自覚をお持ちになっていることに気づかされます。
個別性ばかりが際立っていて、個人としての自分以外はあり得ないという心の状態もあるでしょう。また、個別性でいるときがほとんどだけれど、ごくたまに全体性がやってくるという人もいらっしゃるようです。
それを自身でコントロールできないので、全体性への信頼性がまだそれほど高まっていない状態ともいえます。
あるいはまた、ごくまれに全体性を感じているときには、個別性が薄れてしまうという状態になれる人もいるようです。
そうした場合でも、当然のことながら必ず個別性に戻されてしまうのですが。また、瞑想や大好きな踊りなどに没頭していれば、全体性がやってくるということもあるでしょう。
私が思うに、個別性が消える必要は特にはないのです。なぜなら、それが消滅したとしてもいずれはまた戻ってきてしまうのですから。
大切なことは、個別性があろうとなかろうと、できるだけ長い間全体性を感じ続けることができればいいのです。
そのためには、いついかなるときにもあの「ただ在る」という全体性への注意を向け続けることです。そこには、1ミリの興奮もありません。
個別性と全体性が同時にあるとき、個別性における自己防衛の力がごく自然に緩んでくるのです。それが真の癒しなのですね。