もしもあなたが、今いる部屋を非常に嫌悪しているとして、一刻も早く離れたいと願ったとしても、一瞬にしてその部屋から脱出できるわけではありませんね。
あなたの嫌いなその部屋の床を歩いて、外へと出ていく必要があるのです。つまりは、問題の解決というのは今あなたが「いる場所」から始めなければならないのです。
どれほど理想を掲げたところで、その嫌いな部屋の空気を吸って、その部屋の音を聞きながら出ていくことになるのです。
癒しというのも同じようなものです。あなたが一個の自我として生きているのであれば、その自我のレベルを通して癒しを進めていく必要があるのです。
つまり、心理療法による心の癒しというのは、つまるところあなたの自我を癒していくということです。
けれども、もしもその部屋から一歩も出ずにかつその嫌悪感からも解放される方法があるとしたらどうでしょう?
可能性は決してゼロではないのです。その方法は、あなたが自分の本質に目覚めることで実現するかもしれないのです。
部屋から出たいと願っているその自我に意識を向けることによって、あなたが観照者の側になることで自我との距離ができるのです。
その距離は物理的にはゼロであっても、異なる次元という意味では無限に遠いのです。あなたの本質は嫌悪感からも無限に遠い状態にあるということ。
意識的であることの究極の目的は、そのような状態になることを想定しています。どうでしょう?意識を自分に向ける練習がしたくなったのではないですか?
本当はその部屋から出る必要などなく、その部屋とは別の次元に本当のあなたがいるということに気づくだけでいいのです。
問題が解決されるのではなく、元々あなたの次元には問題なるものなど存在していなかったということですね。