自我は天国には住めない

みなさんは、天国とかユートピアなどと聞いてどんなイメージを持つでしょうか?争いのない愛に溢れた場所っていうような感じかと思います。

何千年にわたる人類の歴史が戦争などによる殺戮と略奪の連続であることを考えたら、その反対にある平和な世界をイメージするかもしれません。

自分が生きている間にそうした理想的な世界がやってきてくれたらいいのにと思うかもしれませんが、それは本当ではありません。

なぜなら、戦争のない平和な世界になって誰もが幸せに暮らしているとしても、自分だけが惨めな毎日を生きているとしたら、そんな平和などいらないと思うはずだからです。

つまり私たちが真に求めているのは、自分の心が満たされることなのです。その上で世界全体が平和であれば尚良いと言っているだけ。

これが私たち自我の本質です。それは自分の存在は他者と分離しているという思いから必然的にやってくるものです。

そしてもっと知っておくべきことは、自分の心が分裂していることこそがこの世界の分裂を生み、それが現在の戦争ばかりの世界を作り上げてきたということ。

自我が優位である社会において、争いごとが消えて無くなることは決してないと思って間違いありません。

自我にとっては、争い(防衛)が消えていく世界を理想としながらも、それは同時に自我にとっての死を意味することになるのです。

冒頭に戻って天国やユートピアがあっとして、そこで自我が生き残ることは不可能なのです。この逆説的な事実への深い理解が、きっと自我優位の世界から離れていくためには必要なのでしょうね。

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