無について説明することは、それだけで要点を逃しているような気持ちになるのですが、それは言葉で説明することのできないものだからですね。
それでも敢えて表現すると、無というのは現象界に住んでいる私たちからすると空虚だと感じるのですが、本当は無で満ち満ちているとも言えるのです。
あらゆる現象は無からやってくる。それは例えば、電気的には何もない状態のところから、プラスイオンとマイナスイオンに分離することで、電荷が起きるのに似ています。
そして分離してしまったプラスとマイナスイオンは、再び無の状態に戻ろうとして互いに引き合うのです。
この引き合って電気的にゼロの状態に戻るまでのことを、事象とか現象と呼んでいるわけです。
そういう意味からすれば、私たちのこの世界という現象界も同様にして、無が何らかのねじれ、あるいは歪みによって起きてくるものと捉えることができます。
そしてそのねじれが解消されようとしてあらゆる現象が起きているということです。つまりは、そのねじれの解消が終わってしまえば、全ては元の無に帰するわけですね。
その間の儚い夢のようなものこそが、この現象界で起きている全てであるとするなら、もっと肩の力を抜いてかりそめの人生を楽しんでもいいのかなと思うのです。