私たち人間は、自分の人生を自分の意志と決断によって、自由にコントロールしていると感じています。
確かに私自身もこれまでの様々な人生の場面で、その時々においては、自分の判断や決心によって、人生を切り盛りしているという実感があったのです。
ところが、今になってあらゆる人生の場面を思い出してみて分かるのですが、自分が舵を切ってきたという感覚が乏しいのです。
何か新しいことを思い立つことがあったとしても、それがどこからやってきたものかは不明のままなのです。
その都度、選択して決心したと思ってはいるのですが、すぐ後になってそれがどのようにして起きたのかは皆目分からないのです。
こうなると、もう誰が何と言おうとただ起きることが起きるのだとしか説明することができないのです。
そしてきっと、この先の人生も違いはないはずです。だとしたら、過去へのどんな後悔もできないし、未来への不安もバカバカしいのみです。
結局、大船に乗ったつもりで悠々と日々を過ごすことしかできないということになり、それは本当に恵まれているということですね。