私は昔から風のようにして生きられたらいいなあという願望がありました。なぜだろうと考えてみて、少しその理由が分かりました。
たとえば、風には目に見えないという特徴がありますね。人知れず在るのですが、時には人に優しく、またある時には厳しい接し方をするときもあり。
また風はどこか特定の場所に居座ることができません。どこからともなくやってきて、またどこかへと当てもなく過ぎ去っていくのがいいのです。
まるで風来坊のよう。その執着のなさがとても気持ちいいのです。何かにしがみつこうとせず、所有しようともしない。
特別な自分というものを持たずにあって、その大きさや形すらいつも変化し続けているのです。
風を人のように見立てることに無理があるとしたら、逆に自分に起こるあらゆる事象をまるで風のように自分の中を通り抜けさせたいと思うのです。
何がやってきてもそれを所有しようとせずに、そしてそれが去っていくならそれはそれでいいのです。
爽やかな春の微風も好きだけれど、それもすぐに消えていってしまうからいいのです。突風は目に埃が入るけれど、いずれは過ぎ去っていくのです。
何であろうと、起きることがあなたの中を通り過ぎていくのを見守っていればいいだけなのですね。