私たちはみんな「無」からやってきて、かりそめの肉体をまとって人生を送り、その後また元の「無」へと帰っていくのです。
無限である「無」と比べたら、ほんの一瞬の取るに足りない生を生きるだけの存在なのです。
それなのに、どうしたわけか必死になって何かを求め続けてしまうのです。何とかして不安と恐怖と孤独から逃れようとするのです。
すぐに終わってあとは帰還するだけの身の上なのですが、それが分かってはいても、ゆったりとはしていられないのです。
戦い、強欲、必死、呪い、嫉妬、こうした思考に乗っ取られて、一瞬の人生を終えることになるのです。
自分がいつ死を迎えるのかは知りませんが、何となく分かっていることがあるのです。それは、死の間際に一生はあっという間だったと思うだろうことです。
過ぎ去った過去はどこにもないので、今死に直面しているという事実だけを見れば、人生はほんの一瞬なのだろうと。
それならすることはたった一つ。「無」の境地からこの生を眺め続けること。そうなったら、この生も「無」の一部だと気づくことになるのでしょうね。