誰であれ、できることなら怒らないで平安な気持ちでいたいと思うものですね。場合によっては、怒ることは悪いことだと感じているかもしれません。
ただし、喜怒哀楽というくらいですから、怒りも正当な私たちの感情の一つなので、健康であるためには怒りもしっかり感じる必要があるのです。
怒りを自覚して抑える場合はともかくとして、自動的に抑えられてしまう主な三つの理由は、以下のものです。
– 恐怖感:怖い状態では怒りは出せなくなってしまいます。
– 罪悪感:申し訳ないという気持ちがあると、怒りはしぼんでしまいます。
– 自己否定:自分が悪かったと思えば、やはり怒りは出にくくなるのです。
こうしたことは、日常的にきっと体験していますので、ああなるほどと思えるはずですが、これらが重複したり互いに関連しあうことで、いろいろバリエーションが起きてくるのです。
たとえば、幼い頃に親などに繰り返し激しく怒られて、その時の恐怖が残っていたとすると、大人になっていざ怒ろうとしても、その過去の恐怖が邪魔をするということもあります。
現実の世界では恐怖はないのですが、過去の恐怖に現在の怒りが妨げられるということです。
こうなると、なぜ自分は怒ることができないのか、その理由が分からない状態になってしまうかもしれません。
場合によっては、その怒りが行き場を失って仕方なく自分へと向かうことになることもあります。それがなんらかの自傷行為を誘発させるのです。
怒りに対面できない理由が過去の恐怖なのであれば、今度は恐怖と対面することが必要になるということですね。