いつの頃からなのか、気がついたら物理的なことよりも精神的なことの方がずっと崇高なものだという観念が出来上がっていましたね。
きっと目に見えて手に触れられる具体性のあるものは当たり前のものであって、捉えどころのないもの、神秘的なものの方がレベルが上のような気がするのでしょう。
もしかしたら物理的な存在である人間よりも、姿が見えない神の方が偉大だという感覚から来ているのかもしれません。
けれども、アインシュタインの相対性理論によれば、物質とエネルギーは互いに変換できるものだということです。
もしも精神性が一種のエネルギーだとすれば、物質となんら違いはないということになりますし、個人的にも今はそれが当然だと感じています。
自分は物理的なこの身体でもないし、マインドという精神的なエネルギーのかたまりでもない。両者には本質的な違いはないのですから。
そのどちらでもない自己とは一体何か?残念ながら、この問いには答えがないのです。どんな答えであれ、不適切なものになってしまうからですね。
こうした問いかけが消えたときに、無限の静寂とそれ自体への気づきだけが残るような気がします。