大人の姿をした子供

子供の頃にはごく普通に経験していたものが、大人になるに連れて経験しなくなっていくものってありますよね。

たとえば、子供は成長の段階で大人や親から叱られる、あるいは怒られるという経験を何度も繰り返して、いろいろなことを覚えていくのです。

生きていく上でのごく基本的なことは、やはり年長者から教わらなければ分からないのですから。それがときには、叱られる、怒られるという形をとるわけです。

さすがに大人になったら、そういうことは減っていくものですね。いい大人がそんなことも分からないのかと思われたら、もうあきらめられてしまうからです。

大人になったら、むしろ助言されるとか、意見されるなどのように、上から目線ではなくある程度対等な立場からものを言われるという形になるのです。

ところが、クライアントさんとお話ししているときに、「叱られる」「怒られる」という表現をされることがあって、それを聞くたびに違和感を感じてしまうのです。それは上述したことが原因なのです。

また、子供の立場は非常に弱いので、親に捨てられたら生きてはいけません。だからこそ、子供の時には「捨てられたら…」という危機感があるわけです。

大人になっても、「私は彼に捨てられた」と言っている人がいるようですが、同じ理由で非常に違和感を覚えるのです。

大人同士であれば、何がどうなったとしても、相手を捨てるとか、相手に捨てられるということはあり得ないはずです。

このように子供の頃に特有の体験を、大人になっても引きずっているという自覚があるなら、インナーチャイルドのエネルギーが強く残っていると見るべきです。

こういう状態では、子供の頃のあの不自由さをずっと抱えながら生活していかなければならなくなってしまいますね。

大人の姿をした子供が、社会の中で生きていくことを考えたら、それは相当に大変なことだとわかります。早めに癒しを進めて行く必要があるでしょうね。