過去の自分と向き合うこと

幼い子供にとって、毎日の生活がとても耐えられないようなひどいものであった場合、その子供は心の中にもう一人の自分を作って、苦しみや辛い感情をそれまでの自分に背負わせようとします。

そうやって、新しく作った自分は自覚の上ではそれほど苦しまずに生きていくことができるようになるのです。その子供にとっては、そうした自己防衛が死活問題であることは容易に分かってあげられますね。

そして、その子はそれまでの自分を置き去りにして、年齢とともに成長していくのです。その延長上に大人の自分がいるというわけです。

したがって、大人になったご本人にとっては過去の苦しみを思い出さなければ、それなりの生活を送っていくことができるのです。

特に、無自覚にいやな思い出から逃れようとして、仕事に精を出したりして何かに没頭する傾向が強くなるのは仕方のないことです。

けれども、その裏には幼くして苦しい感情を丸ごと背負わされて、にっちもさっちもいかないでいる可愛そうな自分が潜んでいるのです。

大人の自分とはひどく乖離してしまっているために、普段はその存在には気づくこともないのですが、その苦しいエネルギーがその人の人生に悲惨な出来事を引っ張ってきてしまうのです。

いくら頑張っても努力しても、意志の力でそれを避けることはできません。人生の苦しみは、「エネルギーは友を呼ぶ」の法則に基づいてやってきてしまうことになるからです。

ご自分の人生を振り返ってみて、なぜこれほど不運続きなのだろうと感じているのなら、上記のようなことを疑ってみる必要があると思います。

そして時間をかけてゆっくりと、過去の自分と向き合っていくことです。過去から逃げ続けることは、結果として人生を台無しにしてしまうことになるのですから。