私たちが映画館に行って映像を見ているときに、それが人工的に作られたものだということを忘れてしまうくらい、のめり込んでしまうことがありますね。
仮にそれが壮大なスケールで描かれる、リアルな歴史物語であったとしましょう。その物語の中で生きて死んでいった大勢の人物たちが、決してできないことが一つあるのです。
それは何だと思いますか?ヒントは、その物語がリアルであればあるほど不可能なことです。映像がリアルであればあるほど、できないことです。
当たり前のことですが、その映画の物語の中で、「この世界、この時代に起きているすべての事象が今スクリーン上に映されている」ということに気づくことはできません。
それは、あなたが睡眠中にみている夢の中にいて、その夢の中のあなたがこの夢を創作しているあなた、眠りこけているあなたのことを思い巡らすことができないのと同じです。
万に一つ、夢の中でそのことに気づいたとしても、その夢の製作者である自分自身を、その夢の中で探すことはできませんね。
もうお分かりだと思いますが、それと似たようなことが今この瞬間にも起きているということです。この現実という世界は、知覚できない無限のスクリーン上で展開されているある種の映像のようなものなのです。
私たちの知覚を使っていては、決して分からない奥深くて驚嘆に値するこの仕掛けに気づくことはできません。
知覚と思考は1セットです。その思考から離れた意識の地点があるということに気づくことができれば、この壮大で緻密な仕掛けにも気づくことになるということです。
誰もがそのことに気づいたら、みんなで一緒にこの物語を思い切り楽しむことができるようになるでしょうね。