私たちは、時として自分に対して嘘をつくことがあるということを知っています。それは、都合の悪いことから目を逸らすためです。
けれども、そうしたことは人生のごく一部に過ぎず、大半は自分に正直に生きていると思い込んでいるのです。
ウソも方便と言う言葉がありますが、場合によっては何でもかんでも本当のことを言えばいいというわけではなく、悪気のないレベルで人にウソをつくことはありますね。
誰かが新しい車を買って有頂天になっているときに、自分なら絶対こんな車買わないと思っても、その気持ちをそのまま言うことはあまりありません。
でも自分自身の気持ちに、そのような見え透いたウソをつくことはできないと思っているので、自分は自分に正直だと信じているのです。
しかし、徹底的に正直でいられるかということをきちんと検証してみると、かなり怪しくなってくるのが分かります。
自分に正直でない、つまり自分を騙すときに一番多く使われるテクニックは、思い込んでいることを事実だとすることです。
実は、私たちが事実に違いないとしていることのほとんどが、信じていること、思い込んでいることに過ぎないのです。
徹底的に正直になるとは、そのことをしっかりと見抜くことなのです。ひとたび、このことに気づいてしまうと、あれもこれも事実ではなくて自分の思い込みの産物だったと分かります。
そうやって、真に自分に正直になることによってのみ、自分とは一体なんなのだという深遠な謎にせまることができるのです。