心理療法の限界を見極める

このブログでも、過去何度かお伝えしているので繰り返しになってしまうのですが、私が行っているような一般的な心理療法には限界があります。

それもとても重要な限界です。それは、そのことに気づかないで続けていると、かえって苦しみを生むことにもなりかねないからです。

それはこういうことです。一刻も早く部屋から出たいと思ったときに、どうするかといえば一直線にドアのところまで歩いていくはずです。

つまり、出たいと思っているその部屋の床を踏みしめながら歩いていくしかないということです。部屋を出るためにはその部屋を利用せざるを得ないのです。

心理療法とはまさにそれと同じものなのです。エゴが作り出す苦しみから解放されたいのであれば、まずはそのエゴを利用しなければならないのです。

エゴの「自分を何とかしたい」という思いを利用して、心理療法を進めていくわけです。けれども、もしもそれを続けていけばどういうことになるのでしょうか?

それは、先ほどの部屋から出ようとする例を使えば、ドアのところまで一直線に進んで行っているように感じながらも、実は部屋の中をグルグル回ってしまうということです。

しっかりとドアを見据えて、部屋の中をあてもなく歩き続けることのないようにしなければなりません。

心理療法もエゴを使ってエゴの苦しみから逃れようとするのですが、その「自分を何とかしたい」という思いそのものがエゴど真ん中であることに気づかねばならないのです。

そのうえで、自己の本質とは何か?ということに目を向けるようにしなければならないのです。部屋を出るときに、ドアノブから目を決してはずすことのないようにするということですね。