学生時代に海外に留学したり、社会人になってからも海外生活の経験をしたことのある人は結構いるものですね。
セッションに来られるクライアントさんにも、相当な割合でそういう方がいらっしゃいます。その多くが親からできるだけ離れたいという思いがあってのことなのです。
勿論、海外へ行く人の全部がそうだということでは決してないのですが、親、あるいや親にまつわる文化、つまり生まれた故郷や日本という国から逃亡したいと強く思うようになる人は多いのです。
冒険心溢れる心で勇猛果敢に未知の国、環境へとみずからチャレンジする人も大勢いるのは知っています。
でもここで言いたいのは、居心地がものすごくいい場所から、わざわざ遠く離れたところに行きたいと、人はあまり思わないということです。
若いうちに、それまで経験したことのない文化の中に入ることはとても新鮮な体験であり、知見を広げるという意味ではすばらしいことです。
けれども、もしもその目的が親の縛りから逃れるためであるなら、ほとんど無駄なことだと知ることです。
なぜなら、人は幼年期の時代に親の内在化というのを心理的に行ってしまうからです。つまり、親が自分に働きかけてきたのと同じ働きをする意識を自分の心の中に作ってしまうのです。
したがって、たとえ地球の裏側に行ったとしても、親が自分を見張り、コントロールしてきたのと同じ意識が自分自身と一緒にくっついてきてしまうために、それから逃れることはできないのです。
海外留学、海外生活というと何となく聞こえはいいですが、ある意味逃亡生活でもあるということに気づく必要があります。
それは都合の悪いことから目を背けて生きるということであり、それこそが自己犠牲や苦悩の大元である自己防衛なのですから。