セラピストという商売は、嫌われてナンボ、否定されたり憎まれたりするのはある程度やむをえないという側面がどうしてもあるのです。
誰だって、否定されるよりも肯定されたいですし、嫌われるよりも好かれたいのが本音です。セラピストとクライアントさんの関係が良好であることは、必要不可欠の前提です。
けれども、そうなるように努めるだけでは残念ながら100点満点とは行かないのです。なぜなら、セラピストはクライアントさんにとって都合の悪いことに自ら気づいてもらう必要があるからです。
耳障りのいいことばかり言って、ただただクライアントさんの言葉に耳を傾けて深い共感的態度でいればいいのではありません。
クライアントさんの苦しみの原因の多くは、元をただせば自分が惨めだという間違った思いから目を背けようとし続けることからくるのです。
したがって、ずっと避けてきたその惨めな思いへと何とかして誘導しなければなりません。クライアントさんは、それでも自己防衛システムを駆使してそこから逃げようとします。
けれども、追い詰められてそのもっとも見たくない自分の姿を見せ付けられるとき、セラピストに傷つけられたと感じるとしても、それは当然のことなのです。
クライアントさんはそのとき、セラピストに対して攻撃的な態度に出るかもしれませんし、セッションでは黙っていて後で何かの形で敵討ちするかもしれません。
もちろん、そうなることを望んでいるわけでは決してないのですが、残念ながらセラピストを切り捨ててしまうケースもあるのでしょう。
場合によっては限られた予算の中で、高額なセッションにいらっしゃるクライアントさんの気持ちを考えたら、悠長にいずれ気づいてもらえればいいなどとは言ってられなくなるのです。
良好な関係を保ちつつ、クライアントさんがセッションで痛いところを突かれたと肯定的に感じられるなら、それがベストなのでしょうね。