「自己防衛システム」の目的は、見捨てられてしまう不安を、何とかしてそうならないようにして安心を得ようとすることです。
つまり、幸せになることが目的ではないのです。それに気づかずにいながら、大人になると自分を少しでも幸せにしようと考えるようになるのです。
ところが、幸せになるために使う手段として、無自覚のうちに過去に作った「自己防衛システム」が利用されてしまうわけです。
だから、幸せになれるはずもありません。その手段は、自分は生きていけるという安心を得るためだったのですから、見当違いも甚だしいのです。
そうして、結局幸せになろうと努力すればするほど、心の内部で活動する「自己防衛システム」にコントロールされて、自己犠牲を強いる結果となってしまうのです。
どれほど頑張っても、何をやっても、一過性の安心は得られるものの、そんなものは明日になったら消えてなくなってしまうのです。
どう努力をしても、どうしても心から喜びを享受する人生になって行かないのには、こうした明確な原因があったということです。
安心を得ようとする自分の防衛システムの本性を見抜くことです。そして、安心の代わりに、心からの平安に近づくにはという視点を持つことです。
よりよい自分になろうとしたり、自己啓発セミナーにはまってみたり、社会で成功して認められようとしたりするのは、すべてが「自己防衛システム」が関わっています。
さらに付け加えるならば、心の癒しを進めていこうとするのも、そして覚醒への道を究めようとすることさせ、実は「自己防衛システム」の中でのことなのです。
それでも、癒しの最初の一歩二歩は、その防衛システムの力を借りて進めていかざるを得ないのも事実なのです。
大切なことは、どの時点でそのことにしっかり気づくことができるのか、そして本当の癒しとは今この瞬間の自分を変えようとすることにあるのではなく、真実に気づくことなのです。