思考を見るというただそれだけで、心の騒がしさが一瞬にして静まるという事実を、時々みなさんにお伝えしています。
「心が騒がしくなってしまったら、自分の心の中にどんな思考があるのかを見てください。」といつものように説明したら、あるクライアントさんに「思考って何ですか?」と聞かれてしまいました。
そう聞かれて、一体思考って何なのだろうか?と問い詰めていくと、何だか分からないという結果になるのも事実です。
思考が何かを説明できないとしても、思考は一種麻薬のようなものだと言えるかもしれません。一度その魅力にとり付かれてしまうと、なかなかそこから抜け出すことが難しいからです。
一度麻薬に手を出してしまったら、いざやめようと思ってもやめられなくなってしまうということは、誰もが知っていることですね。
思考も同じかもしれません。思考の中でも特異なものである、自己と身体を同一視するという思考を一度作ってしまうと、気がついたときにはもうそこから抜け出せなくなってしまっているのです。
そればかりではありません。その同一視した思考は、次から次へと別の思考を作り出すものですから、思考そのものを止めるということすら難しくなるのです。
そうやって、子供から大人になるにしたがって、もうにっちもさっちもいかない、完全なる薬物中毒のような思考中毒状態になってしまうのです。
この思考中毒状態は、ほとんどが自己破壊的な防衛のために費やされるのですから、多くの先達が何とかして思考を止めようと四苦八苦してきた歴史があるのも頷けます。
でも本当に簡単なのです。ただ、一瞬立ち止まって、いったいどんな思考が今あるんだろうかと見ようとするだけで、思考は静かになってくれます。
嘘だと思ったら、試してみてください。そして、それを日々実践することができたら、煩わしい心の状態から短時間に抜け出すことができるようになります。