小学生のころ、家の裏側に位置する家によく一緒に遊ぶ友達がいました。彼は、次郎ちゃんといって、確か小学生までは同じ学校でした。
いつものように、じろちゃんと遊んでいたある日、何かちょっとしたことで気分を害した自分は、あからさまには怒りを出さないようにして、陰険な感じで言い合いをしていたと思います。
そのときに、じろちゃんは、ふいに「なんか僕たちケンカしてるみたいだよね」と言ってきたのです。自分は冷静を保ったように、そんなことないよと言って、二人はいつもの仲良しに戻ることができたのです。
じろちゃんが仲直りのきっかけを作ってくれたんだなとはっきり分かりました。いつも自分の方が何となくえばっているくせに、こういう肝心なときはじろちゃんの方が上だなと。
自分は負けたと思いました。自分の方が弱い、その弱さとは素直になれないということです。素直に表現ができる人が羨ましいと思ったものです。
自己防衛していると、素直さはどこかへ行ってしまいます。相手に負けたくないと、弱みを見せたくないとつっぱるのは、ただの自己防衛ですね。
素直でいることが恥ずかしいと感じていたのです。それは今でも変わらずに持っている自覚があります。子供のころよりは、小さくなったかもしれませんが…。
恥ずかしさは恐怖から来ていますので、恥ずかしさを正面から感じようとしなければ、いつまでも自己防衛の懐から抜け出すことができません。
恥ずかしさにはどうしても勝てない人、きっと沢山いらっしゃるはずですね。その恥ずかしさをまともに感じきることができたら、素直さという宝物を誰でも手にすることができるのです。