大人になった自分が抱えている様々な問題の根源を見ようとしたら、自分史を作ることがとても役に立つはずです。
とくに、幼い頃、3歳くらいから12歳くらいまでの出来事を、思い出す限り文字にするのがいいと思います。
そうやって、思い起こす作業をしながら自己分析を繰り返していくわけです。こうした作業は、慣れてくれば勿論自分ひとりで可能です。
自分がどのような環境で育てられてきたのか、そのときに何を感じどんなことを考えながら生きてきたのかを、見つめなおすのです。
こうした自己分析の作業は、癒しにとってはとても役に立つ、必要なことです。けれども、残念ながら十分条件ではありません。
なぜなら、事実をいくら分析したところで、溜め込んできた感情の塊は残っているからです。分析の途中で、思いもよらず感情が噴出してしまう場合は幸運です。
多くの場合には、ある程度の感情と出会うことはできても、しっかりとその中に入っていくことができずに記憶の上っ面を素通りしてしまう可能性が高いのです。
それは仕方のないことですね。元々、都合の悪い、なかったことにしたい感情を避けることで自分を守ろうとしてきたのですから。
とにもかくにも、あらゆる感情の塊の中深く入っていくことです。そしてありのままに、その感情と一つになるのです。
例えて言えば、寒くて身を縮めていて、身体が小刻みに震えてしまうときに、思い切って体中の力を抜いて寒さに対して無防備になると、感じる寒さの質が変わるのが分かりますが、それと近い感覚です。
それと同時に身体の震えも止まってくれる場合さえあるのです。もしも、経験がなければ実際に試してみてください。すぐにこれかと分かるはずです。
まさにその感覚と似たことを、感情に対してするということです。感情を敵対視することなく、それを何とかしようとする気持ちを脇に置くのです。
そうやって、襲ってくる感情に身を委ねてしまえば、そこには何もなかったんだということに気づくことになるのですから。