秋も深くなってきて、朝散歩をするのには暑すぎず寒すぎずで、ちょうどいい気温になりましたね。普段あまりにも運動をしないので、歩けるときは40分程度の散歩をしています。
近所に井の頭公園があるので、その池の周りをぐるりと一周して戻ってくると、ちょうどいい運動になるのです。
その散歩中に、ちょっと不思議な光景を目撃しました。公園には沢山のベンチがあって、朝だからか、それらのほとんどが空いているのです。
そのベンチの一つの下のところに四つんばいになって、何かを一生懸命にやっている人の姿を見つけました。
最初は何だかよく分からなかったのですが、その人は明らかにベンチを掃除していたのです。お爺さんというほどではないですが、それなりの年齢の男性です。
彼は、何やらヘラのようなものを使って、ベンチの足元に付着したものを一心に削り取っているようなのです。お仕事としてやっているようには見えません。
あの公園のベンチは、東京都がやっている「思い出ベンチ」事業で、一般の方々からの寄付の募集によって作られたものなのです。
それで、一つひとつのベンチには、寄付者の名前とメッセージを刻んだ記念プレートが取り付けてあって、寄付した人の思い出を目で見える形で残しているのです。
もしかしたら、あの男性は自分が寄付したベンチを大切に思って、掃除をしに来た人だったのかもしれないと思ったのです。
ところが、その後もまったく違う場所のベンチを掃除しているその男性を2度ほど目撃したのです。ということは、まったく自主的にやっているボランティア活動なのでしょうね。
その掃除のやり方が、単にベンチの椅子の表面を拭くというような簡易的なものではなくて、かなり厳重な手の込んだ掃除なのです。
誰に評価されるでもなく、誰に言われたからでもなく、ただ黙々とかつ丹念に雨ざらしになっているベンチとその周りを掃除しているのです。
なんだかいいなあと思ってしまいました…。