子供が産まれると、親は我が子が幸せになれるようにできるだけのサポートをしようと思うものです。それは親が子供に対して持つ本能的な愛が、そう思わせるのですね。
けれども、子供の成長と共に少しずつですが、親は子供をコントロールするようになっていくのです。そのことは、もしかしたら初めのうちは、親の自覚がないかもしれません。
親が子供に幸せになって欲しいと思うこと自体が変化することはないのですが、ただそこに親のコントロールが介在するようになっていくのです。
そのコントロールとは、親が個人的に望むような幸せを子供の人生に期待するということです。こういったことは、多かれ少なかれ、どんな親にもある程度は当てはまるものです。
随分前のことですが、あるクライアントさんの親とお話しするチャンスがあったのですが、そのときに母親がこう言ったのを覚えています。
「自分の子供に幸せになってもらいたいのは当たり前のこと。けれども、どんな幸せでもいいということではない。そんな身勝手なことは許されない。」
それを隣で聞いていたクライアントさんが、深く落胆しているのを私は見逃しませんでした。残念ながら、そのセッション中にその親の気持ちを変えることは不可能なことでした。
子供が幼いときに、母親が気に入る服だけを子供に着させようとするなどという事例は、山ほど知っています。
娘が成長して、結婚したいと思っている恋人を親に会わせたところ、単に彼が黒人だったというだけで反対されたという悲惨な話を聞いたこともあります。
こうした親のコントロールについては、子供の年齢にかかわらず、事例はいくらでも思い出すことができます。
それだけ、親のコントロールに苦しんできた子供は沢山いるということですね。心当たりがある方も多いのではないでしょうか?
自覚としてはサポートしているだけのつもりが、知らぬ間にコントロールの要素が強くなっていくので、なかなか気づくことが難しいのです。
コントロールされる苦悩を持っているのなら、自分も相手をコントロールしようとしてはいないかを、まず第一によくチェックすることから始めて下さい。
そして、コントロールを手放すことができると、それだけサポートすることにエネルギーをつぎ込むことができるようになるはずです。
そうすると、不思議なことに相手からのコントロールが気にならなくなっていくのです。愛の力はコントロールを溶かしてしまうらしいです。