「なんちゃって瞑想」による実験

私は人知れず、変てこな実験をするのが好きです。実験といっても、何か努力が必要なことだったり、人に自慢できるようなものではありません。

というより、わざわざ他人に伝えるようなものではありませんし、きっとあまりその意図を理解してはもらえそうにないというのが本当のところです。

さきほど、やっていた実験はそんな中でも、まだまともな方だと思えるので、少しだけお話ししてみようと思います。

いつものように、お手軽で気ままな「なんちゃって瞑想」をやっていたときのことです。この「なんちゃって瞑想」というのは、どんな状況でもできて、時間もかかりません。

したがって、瞑想とは名ばかりですが、それでもちょっとした実験をやるには、利用価値があると自分では思っています。

それをやると、自分は意識だという感覚が強くなり、その意識である自己が突然広がったような感覚になるのです。

その感覚に注意を向けていると、そこには恐怖というものが入り込む余地がないということが分かります。恐怖とは縁がないのです。

先ほど、夜遅く一人で真っ暗な部屋でそんなことをやっていると、ちょっとした変な物音が聞こえてきたのですが、その瞬間に何とも言えない恐怖がやってきました。

それまで、意識には恐怖はないなあなどと思っていたはずなのに、その意識の広がりを見ていながらも、恐怖を感じたのです。

そのことに興味を覚えたので、今度はその恐怖に注意を向けてみたのですが、そうするとその感覚はどうも背中の辺りの感覚とリンクしているようだと分かったのです。

つまり、背中という最も無防備な身体の部分に意識が向いた状態になったということなんでしょうね。恐怖は、身体と一緒にしか湧き上がってくることができないということです。

それを確認してから、もう一度自分の意識に注意を向けていると、やはり恐怖は少しずつ消えていってくれました。世にも恐ろしい怪談話やホラー映画を観たあとでも、この実験が有効かどうかは定かではありませんが…。

いつか、機会があったら試してみようと思っています。