ついでにもう一つ、昨日一昨日の続きとなりそうなことを書きます。
自分に対して誠実に向き合う、自分の心を騙さずにとことん正直になるということは、何も今まで言えなかったことを言えるようにするということではありません。
立場上逆らうことができなかったり、見捨てられたくないばっかりに相手の都合に合わせるばかりで、本音を言えないでいる人は実に沢山います。
勿論、そのような場合に、自己表現を抑えてきたということに気づいて、少しずつ表現していけるようにするのは、癒しの第一歩としてとても大切なことです。
けれども、今ここで言っている自分に正直になるというのは、それとは違うことです。相手に言えずにいた文句を、正直に伝えるということではありません。
自己主張できるということは、とても大切なことですが、そこには実は自分の正しさや信念への寄りかかりがあるのです。
ここで言わんとしている、自分に正直になるというのは、自分の正しさに寄りかからない、自分の信念に頼らないということ。
敢えて同じ言葉を使うとすれば、正しさで自分を守りたい、信念にしがみついたままでいたいという、自分の本音を観るということです。
どうやって、自分は自分のことを守ろうとしているのかということについて、詳細に観るということも含まれるでしょう。
そうすることによって、ストレートな気持ちで自分と向き合うことができるのです。本音を言うということにも、二種類のものがあるのです。
一つは、隠していた不満や自分が信じること、考え方、主義主張を伝えるということ。もう一つは、告白的な色合いの強い伝え方です。
自分に正直になるというのは、ここでは後者のことを意味しています。前者は防衛的であり、後者は無防備な感じになるはずです。
私は以前、パートナーと腹を割って話し合おうと思って、いざ自分に正直になろうとして、前者をやってしまい、失敗した苦い思い出があります。
やはり、正直さというのは、無防備さからしかやってこないものなのかもしれません。