人生で困ったことに直面すると、人はうろたえて立ち往生しているような気持ちになるものですね。そして、どうしたらその状況から脱出することができるのかということにエネルギーを注ぐのです。
そんなときに、力づくでそこから逃れることができたとしても、きっといつか必ずまた同じような困った事態というのがやってきます。
それは困ったことから大切なことを気付かせてもらえるまで続くと思っていて間違いありません。つまり、自分の個人的な能力や努力で乗り越えてしまうだけだと、気付きを得られにくいということなのです。
例えば、商売をされている人が売り上げが落ちてきて困った状態になったとして、通常は売り上げを元通りにするために様々な作戦を思いつくかもしれません。
そしてそうした策を実施して思った通りに売り上げ増を達成したとすると、この困ったことに直面することから大切なことを学ばずに済ませてしまったということになるのです。
百歩譲って、そのような場合でも気付かされることが全くないとは言えないかもしれませんが、もっともっと多くの気付きを得る方法があるのです。
それは、なぜ今自分に困った状況がやってきたのかということを見いだそうとする姿勢を持つことですね。事態をすぐに否定的な目で見るのではなく、何かを気付かせてもらえるチャンスと捉えるということ。
そういう見方ができるようになると、困ったことになったという思いそのものが単なる思い込みによる産物だったと思えるようになるかもしれません。
実際に、自分の人生の過去を振り返って、あの時は本当に困ったということを思い出したときに、そこで何らかの気付きを得られたときにはその後の人生が変化しているのです。
しかし、逆にやみくもに立ち向かって勢いで乗り越えてしまったような場合、あるいはそれに失敗したようなときには、気付くことなく、そして人生も何も変わってはいないと分かります。
困ったなと思うときには、大切なことと向き合う大チャンスがやってきていると思うこと、そしてそのことを解決して不安を安心に変えようとむやみにしないことです。
不安の根源はそのことではないと気付くこと、それを解決できたとしても不安はまたやってくるということを知ることです。