働き者の親を持つ子供の心というのは複雑です。なぜなら、誠心誠意一生懸命働いている親の姿というのは、尊敬に値すると思っている反面、その逆に不満も満載だからです。
働き者というのは、何かに向かって頑張っているわけですから、子供の立場からすると親にとっては自分よりも他に何か大切なものがあるのだなとの思いを感じるということです。
そして大変だなとも思っているので、自分がわがままを言って余計な迷惑をかけてはいけないと内心思ってもいるのです。
そうすると、確実に本音を言えないような親子関係が出来上がってしまいます。子供本人もそういった不満を自分が持っているという自覚がないので、そのまま何事もなかったかのように成長していきます。
親の方としても、我がままを訴えてこない子供というのはとても都合がいいので、何も問題がないと勘違いしてそれ以上のケアをしなくなってしまいがちです。
そうやって、子供の心は満たされない思いを溜め込んでいくことになります。それは基本的には寂しいという思い、もっと自分をかまって欲しいという気持ちなのです。
そしてそういうことを直接的に表現しないでいると、それは必ず間接的なものとして起きてくるのです。それは例えば不登校であったり、病気であったり、何かと親に面倒をかける子供の言動として現れてきます。
親は元々働き者ですから多忙をきわめていて、余裕がない状態にもかかわらず、そういう子供のやっかいな言動に付き合わされてしまうことになるのです。
ですが、実はそういった子供の訴える思いというのは、実は親自身の子供時代の不満そのものであるのです。それが解消されていないからこそ、子供がそれを身をもって教えてくれているということなのです。
表面的にばかり見てしまうと、困った子供だということだけが目立ってしまうのですが、親自身の心の癒しをしていく大切なチャンスが巡ってきていると理解することがとても大切なのです。
手のかかる子供を抱えていると感じている親御さんは、こうしたことを一度しっかり見つめてみることをお勧めします。
そして一人では解決できないと思うのであればプロの癒しを受けてみるのもとてもいいのではないかと思います。