強迫性障害

出かけるときに家の鍵を閉めたかどうか不安になって、戻って確認してしまうという人は意外に多いものです。これはクセではなくて、不安な心がそうさせてしまう一種の症状だと言えます。

鍵だけでなくて、電気を切り忘れていないかとか、ガスの元栓を閉めたかどうかなど、確認しないではいられない症状は本当に多岐に渡ります。

症状が軽い場合には特に気にする必要もないのですが、何度も繰り返さねばならないとなると、遅刻してしまったりすることも出てきます。

そうなると、本人としてもとても困ったことになったなと自覚するようになるかもしれません。この不安からくる症状は、確認だけではなくて、いくら手を洗っても洗い終えた気になれないというような症状の場合もあります。

お風呂で何度身体を洗おうと、何度シャンプーしてもどうも洗えてる気がしないというようなものです。ひどくなると、何時間もお風呂から出られなくなってしまうこともあるのです。

こうしたものは、精神医学の世界では強迫性障害というように呼ぶこともあるようです。私自身は病名には何の思い入れもありませんので、なぜそうした症状が発生するかということと、どうすればそうしたことが治るのかということにだけ興味があります。

そうした症状をお持ちのクライアントさんと対面していて、私が個人的に感じるのは、どうもそれは満たされない強い不満な気持ちを持った意識が邪魔をしているように思えるのです。

何かをやり終えると本人はすっきりとした気持ちになってとりあえず満足するのです。手を洗い終えたとき、鍵をしっかりと閉めたとき、そうした一種の満足した気持ちになるのです。

ところが、その満たされない気持ちがそれを妨害しようとして、いつまでもやり終えて満たされた気持ちにさせないという症状が出てくるのではないかと感じるのです。

大人の自分だけに満足させてなるものかという感じで、心の奥に潜む満たされてない自分の意識が邪魔をするということです。

したがって、その症状を緩和するためには、満たされていないで文句を言っている昔の自分のことを思い出して、その心を受け止めてあげることが必要なのです。

こうした症状はかなりしつこいものですので、自分一人ではなかなか解決できない場合が多いかもしれません。専門家に相談することも一つの手ではないかと思います。