誰もが自分の人生には、なるべく問題が起きないで居て欲しいと願っているものですね。苦労は買ってでもしろと言ういにしえの言葉があるにもかかわらず、わざわざ苦悩したいとは思わないものです。
ところが実は何かを考える、つまり思考するという人間の特性を使えば使うほど、そこには問題が生じるというジレンマがあるのです。
何かについて思考すると、そこには必ず問題が発生します。なぜならこの世界は矛盾に満ちているからです。
その矛盾というのは、本当は思考することによって見出されてしまう、あるいは作り出されてしまうものであるとも言えるです。
つまり、思考すれば必ずそこには問題が発見されることになるのです。思考は解釈や判断を伴うからなのです。
そうすると、思考というのは必ずその問題を解決しようと努める特性を持っています。そうやって解決しようとすると、今度はそのためにまた新たな問題を見つけてしまうのです。
そしてまたその問題を解決するために次の問題を幾つも見出してしまうということが雪だるま式に起きてくるのです。
もちろん現実的にはその問題全部に対して解決を図ることはしませんので、心がパンクすることはないのですが、とにかく問題を解決するという思考の習性によって、問題は減らないということです。
思考することは問題を探し出すということをいつも心に留めておくことはとても大切なことです。思考しなければ価値判断をしないですむため、新たに問題を見つけ出すということが少なくなります。
人間としての知性の代表である思考とは一見すばらしい能力のように受け取られていますが、このように見ていくと幸せになっていくためには邪魔なものかもしれません。
思考を停止するために昔から人は瞑想をしたり、座禅を組んだりしてきたのも、そういった理由があったのです。
忙しい日常の中で思考をとめるということは至難の技かもしれませんが、短い時間でもかまわないので思考を緩めるための時間を作るのはとても大切なことなのです。
是非自分なりの方法を見つけ出して、日々実践することをお勧めします。問題を問題としない心でいられたら、問題を解決するよりもはるかに幸せに近づけるはずです。