過去と未来

みなさんは苦悩のほとんど全てが過去からくるということをご存知ですか?

いやそんなことはない、今この瞬間に胃がキリキリ痛むのは過去ではないと言うかもしれません。しかし、癒しを進めていくと、そういった身体の不調も過去の体験が原因となって発症しているということが分かってきます。

産声をあげたその時から現在に至るまでの長い歴史の中にこそ、今の自分が出来上がるすべての原因があるということですね。

幼いある日、自分が昼寝をしている間に母親が買い物に出かけて、戻ってくる前に目が覚めてしまった時の、どうしようもない不安感や一人ぼっちにさせられてしまった寂しさなどが原因となって、見捨てられ不安という形で大人になっても心のしこりとして残ってしまったりするのです。

それまで大好きだったものを食べて、ひどい食中毒を起こしてしまったことが原因となって、その後まったくその食べ物を口にすることができなくなってしまったなどもよく聞く話しですね。

また、過去にひどい裏切られ方をしてしまった経験によって、それが原因となってその後の人生で人を信頼することができなくなってしまったり、とても理不尽なことを繰り返された相手を、その後ずっと憎み続けなければならなくなったりするのです。

このようにどれだけ過去の出来事や思いが現在の自分を苦しめているか、分かっていただけると思います。そして、未来についても、実は過去の経験というものをベースとして、予想するようになるのです。

不安な毎日を過ごしてきた過去を持つ人は、そういった経験を基準として未来を見つめるために、やはり未来に対しても大きな不安を感じるようになってしまいます。その場合、現在の状況など概ねすっ飛ばして過去から直接未来へと気持ちを向けるのです。

例えば、過労や寝不足、風邪などによる体調不良が重なった時に、満員電車の中ですし詰め状態になって、運悪くちょうど事故などで延々車両内に閉じ込められたりすると、貧血や吐き気などのパニック的な症状を起こすことがあります。

そして一度そういった苦痛の経験をしてしまうと、次に満員電車に乗った時にもしも今度も似たようなことが起きたらどうしようという予期不安が起こるのです。そういった緊張が激しくなった結果、特に体調は悪くなくてもまたパニック的な症状を起こしてしまうといったことがあります。

つまり、私たちは現在をあまりにもないがしろにしていることに気づいていません。過去と未来に自分の意識がいつも向いているといっても過言ではないと思います。

もしも、過去も未来も本当はない、幻想だとしたらどうでしょうか?過去がなければ、誰かを責めることもないでしょうし、未来がなければ不安な毎日を過ごす必要もなくなります。

それを想像してみて下さい。未来を憂うこともせず、過去にとらわれないで今この瞬間にしっかり意識を向けられる人生がどれほど快適なものか、平安で愛に満ちた心で生きていけるとは思いませんか?