昨日のブログでは、人は自分の心の奥のものを外側に向かって投影し、それを周りの人として見ているため、自分が作る人との関係性やその相手自身を正面から見つめることによって、本当の自分というものを知ることができる、それこそが真の学びだというお話をしました。
今日はなぜ人は投影などというものをしているのか、ここに的を当てて見てみることにしたいと思います。例えば、こんなことを考えてみてください。自分が誰かを憎んでいるとします。でも人を憎むなんて、そんな自分であって欲しくないという気持ちが非常に強い場合、その誰かを憎んでいる自分の部分を心の奥に隠してしまうという荒業をすることがあるのです。
つまりトータルな自分の中で、都合の悪い自分の部分だけを自分からも見えないくらいに深い場所にしまって、自分は人を憎むような悪いやつではない、善良な人なのだという状態を確保するわけです。表面的な自分の心は、これでほっと胸をなでおろすことができるわけです。
しかし、これだけでは飽き足らず、もっと安心するためには、自分が隠した誰かを憎む心と同じものを持っている人を身近に居させることで、ああ、自分はあの人とは違うというようにするのです。これが投影の一つの大きな目的なのです。
まとめると、都合の悪い自分の部分をそれは自分ではないと隠すと同時に、同じものを持っている人を出現させて、自分はあんなじゃないとして安心しようとする、これが投影の目的だということです。
この作戦は二重に自分を騙しているので、なかなかたちが悪いですね。ですが、この投影によって出現した周りの人をよくよく見てあげることで、自分が隠し持っている本当の自分の姿をうかがい知ることができるわけです。
そして、実はこの世界は投影だらけなんです。もし、あなたの周りに怒りをいっぱい抱えた人がいるとしたら、それはあなたの心の中に怒りが沢山隠されているということを示していることになりますね。
もしも、あなたのお子さんが不登校になったとしたら、あなたの心の奥底に何かを訴えたいという強い思いが隠されていると思って間違いありません。だからこそ、人は自分の鏡だと言うのです。
あなたのご主人がお酒に溺れて迷惑を被っているとしたら、あなたの心の中に言うに言えない辛い思いが隠されているということかもしれません。投影のメカニズムは常に働いていますので、周りの人を見ることで隠された自分を知ることができるというわけです。